オナガザル科

バーバリーマカク

バーバリーマカク
©2010 Pete Birkinshaw

バーバリーマカクの基本情報

バーバリーマカク

英名:Barbary Macaque
学名:Macaca Sylvanus
分類:オナガザル科 マカク属
生息地:アルジェリア, モロッコ, 英領ジブラルタル
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

バーバリーマカクPhoto credit: boaski

ヨーロッパ唯一のサル

バーバリーマカクはヨーロッパに生息する唯一のサルです。

しかし、彼らの元々の生息地はアフリカです。

数十万年前にはヨーロッパの野生下にも生息していたようですが、寒冷化により絶滅してしまっています。

つまり、バーバリーマカクは最近になって人間によってヨーロッパに連れてこられたサルなのです

 

ヨーロッパのバーバリーマカクはジブラルタルという所にのみ生息しています。

地図上では一見スペインの一部のように見えますが、ジブラルタルはイギリス領です

ヨーロッパの戦いの歴史の名残だと言えるでしょう。

 

ジブラルタルに関しては今でもスペインとイギリスの間で外交上の問題になっているようなのですが、解決の兆しは見えません。

実はこの問題にはバーバリーマカクが関係しています。

どういうことかというと、ジブラルタルにバーバリーマカクがいる限り、イギリスの統治は続くという言い伝えがあるというのです

この言い伝えが本当なら、イギリスは何があってもバーバリーマカクを手放さないでしょうね。

ちなみにジブラルタルには200頭以上のバーバリーマカクが住んでいると言われています。

 

現在、ジブラルタルのバーバリーマカクが住むザ・ロックという所は、観光名所になっています。

人に慣れているようですが、襲われることもあるようなので注意が必要です。

また、餌やりは禁止されており、見つかれば数万円の罰金を科されるようです。

下の動画では、ジブラルタルのバーバリーマカクの様子を見ることができます。

バーバリーマカクの生態

バーバリーマカクは、北アフリカとジブラルタルにある、2600mまでの針葉樹林などに生息します。

昼行性で、葉や果実、花、小動物など何でも食べます。

このサルは他のマカクと同様、ほお袋を持っており、食べたエサを一時的に保存します。

 

体長はオスが55~60㎝、メスが約45㎝で、体重はオスが約16㎏、メスが11㎏と性差があります

しっぽは1㎝ほどと非常に短く、しっぽのない類人猿と似た特徴を有しているということで、バーバリーエイプ(エイプは類人猿の意)と呼ばれたこともありました。

 

バーバリーマカクは、40頭前後、多くて80頭から成る複雄複雌の群れを作ります。

群れのオスとメスにはそれぞれ順位があります。

特にメスの序列は厳格で、基本的に生涯そのランクが変わることはありません。

母親のランクは娘に受け継がれ、若い妹のランクの方が姉よりも高くなります。

オスはメス程厳格ではありませんが、しっかりと序列があります。

劣位のものは優位のものからの攻撃を避けるため、子どもを抱くことがあるようです。

 

この群れの序列は繁殖にはあまり影響していないようです。

つまり、オスとメスは誰とでも交尾できるということです。

彼らは11月~12月にかけて繁殖活動をします。

メスはその間、性皮を腫脹させ、繁殖の準備ができたことをオスに知らせます。

彼らは乱交的に交尾し、1度の繁殖で100回以上交尾することもあるようです。

そうして繁殖が成功すれば、5~6カ月の妊娠期間の後、メスは1匹の赤ちゃんを産みます。

子育ては自分の子かどうかに関わらず、群れ全体で行われます。

オスの場合は複数のメスと交尾するため自分の子どもを認知することができません。

このことが群れ全体での子育てを可能にしているのかもしれません。

バーバリーマカクPhoto credit: TimOve

バーバリーマカクに会える動物園

バーバリーマカクは、主に生息地の減少により個体数を減少させています

ペット目的の狩猟も個体数に影響を与えており、モロッコでは年間300頭ものバーバリーマカクの子どもが連れされられているのではないかという指摘もあります。

彼らの個体数を維持するには、流出しても年間200~250頭と言われているので、300頭という数字が本当であれば、個体数の維持は困難になります。

これらの理由でバーバリーマカクは絶滅の危機に瀕しており、レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

 

そんなバーバリーマカクですが、日本では愛知県犬山市の日本モンキーセンターで会うことができます。

もちろんそこで会うのもいいですが、どうせならヨーロッパで観光がてら彼らに会ってみたいものです。