オナガザル科

ハヌマンラングール

ハヌマンラングール
©2007 Hindol Bhattacharya

ハヌマンラングールの基本情報

ハヌマンラングール

英名:Bengal Scred Langur
学名:Semnopithecus entellus
分類:オナガザル科 ハヌマンラングール属
生息地:インド, バングラデシュ
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ハヌマンラングールPhoto credit: Subhrajyoti07

神の使い

古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』には、サルの英雄が登場します。

このサルは「ハヌマーン」といい、インドでは神として祀られています。

この神様の名にちなみ、ハヌマンラングールは名づけられました。

ハヌマンラングールは現地の人々からはこの神様の使いとして、大切にされています

人々は、貢物としてこのサルに食事を与え、仮に自分の家の食材がとられても咎めることはありません。

 

勝手に神の使いとか崇められ、食事を与えられるなんて、なんて最高な生活なのでしょうか。

 

ちなみに、ラング―ルとは、サンスクリット語で「痩せたサル」を意味します

“子殺し”をするサル

1964年、京都大学の杉山幸丸により、このサルの群れで初めて“子殺し”が観察されました。

子殺しとは、オスが群れを乗っ取る時、その群れのオスの子どもを殺すことです。

この子殺しは後にライオンなど他の動物にも観察されることになるのですが、最初に観察されたのがこのハヌマンラングールでした。

詳細は子殺しの記事をご覧ください。

子殺し
子殺しライオンなどサル以外にも見られる子殺しとは一体何なのか、なぜ起こるのか。これらの疑問にお答えします。...

 

ハヌマンラングールは乾燥地帯や森林、標高3500メートルものところにある湿森林など広く分布していますが、子殺しは、生活環境の厳しい乾燥地帯でのみ観察されています

このような環境下では単雄複雌の群れが作られる傾向にあり、群れの乗っ取りがしばしば起きます。

一方、エサの豊富な地域では複雄複雌の群れが一般的で、子殺しも見られません。

下の動画では子殺しの様子を見ることができるので、興味のある方はご覧ください。

ハヌマンラングールの生態

ハヌマンラングールは、インドバングラデシュの南西部にある乾燥地帯湿森林などに広く生息しています。

地域によっては氷点下になるところもあれば46℃になるところもあり、彼らの生息地のバラエティーがうかがわれます。

木には登りますが、活動中の8割は地上で過ごします。

 

果実樹液樹皮幼虫などを食べ、人が食べるものも食べます。

 

体長はオスが約65㎝、メスが約60㎝、体重はオスが約13㎏、メスが約10㎏、しっぽの長さは60㎝前後で、オスの方が大きくなります

ハヌマンラングールはいろいろな所に分布しているため、様々な点で地域差が見られます

たとえば、高山地にすむものは、低地に住むものより、体が大きく毛の色も白いです。

また、地上を歩く時のしっぽの上げ方にも地域差があります。

先述の群れの形態もそれぞれです。

 

ハヌマンラングールは2~100頭から成る、単雄複雌ないし複雄複雌の群れを作ります。

オスは性成熟前に群れから離れ、オスだけの群れを作ることもあります。

群れでは力で勝ち上がったオスが最も優位にあります。

メスにも序列はあり、メスは性成熟に達した時がピークで、年齢を経るごとに順位が下がっていきます。

 

繁殖には季節性があり、7月~10月にかけて行われます。

メスは200~210日の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは主に母親によって育てられますが、群れの他のメスに世話されることもあります。

離乳は生後9~12カ月、性成熟にはメスが約3歳、オスが約5歳で達します。

ハヌマンラングールの寿命は、飼育下で20~30年です。

ハヌマンラングール

ハヌマンラングールに会える動物園

ハヌマンラングールは、生息地の減少や、一部の地域で行われる狩猟などによって個体数を減らし続けています

しかし、今のところ絶滅の可能性は低いと考えられており、絶滅の危機に関してレッドリストでは軽度懸念とされています。

 

そんなハヌマンラングールですが、日本では山口県のときわ動物園の一か所のみです。

インドの神の使いにはそう簡単には会えないようです。