オマキザル科

クロガオライオンタマリン

クロガオライオンタマリン
©2011 Everton Leonardi

クロガオライオンタマリンの基本情報

クロガオライオンタマリン

英名:Black-faced Lion Tamarin
学名:Leontopithecus caissara
分類:オマキザル科 ライオンタマリン属
生息地:ブラジル
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉

クロガオライオンタマリンPhoto credit: Everton Leonardi

絶滅超危惧種

ライオンタマリン属に属するサルは4種います。

そして、そのすべてが絶滅危惧種に指定されています

 

その中でもこのクロガオライオンタマリンは特に絶滅の危機が高い種です。

絶滅危惧種にもランクがあるのですが、その中でも最も絶滅の危険度が高い絶滅危惧ⅠA類に、このサルは指定されています。

 

そもそもこのサルは、ブラジルのパラナ州にあるスぺラグイ島とその対岸の極めて限られた範囲にしか生息していません。

そこに人間による自然破壊が及んでしまったため、現在はなんと400匹しか生存していないのではないかと言われています。

絶滅が超危惧されているサルなのです。

 

ここまで数が少ないと、さらに数を減らす可能性が高まります。

というのも、血が近い者同士の子どもは、遺伝的多様性に欠け、病気などで一気に死んでしまうことが考えられるからです。

また、生態学では個体群が生存するためには、それを下回っては存続できない、つまり事実上の絶滅を意味する閾値があると考えられています。

通常、個体の密度と増殖率は反比例しますが(ある地域にある種の個体が多ければ多いほど、つまり密度が増加するほど個体の増殖率は低下する。なぜならえさなどの資源をめぐる種内競争が高まるから。これを密度効果という。)、その閾値を下回ると、密度と増殖率は比例します

つまり、密度が低くなり個体ごとに利用できる資源は増えるにもかかわらず、個体群は小さくなっていくのです。

これを負の密度効果、アリー効果と言い、集団で生活する種では協同繁殖が困難になる、採餌が困難になる、捕食者から狙われやすくなるなどが原因として考えられています。

 

このような絶滅の危機に直面するクロガオライオンタマリンですが、保全で数を増やせる可能性は十分あります。

かつて同じ絶滅危惧ⅠA類に指定されていた、近縁種のゴールデンライオンタマリンは、懸命な保全活動によって絶滅危惧ⅠB類に格下げされました

ゴールデンライオンタマリン
ゴールデンライオンタマリン今なお絶滅の危機に瀕するこのサルですが、かつてはより厳しい環境にありました。その歴史を紹介します。...

このような事例は非常にまれですが、近縁種ということもあり、そのノウハウを生かすことはできるでしょう。

活発な保全活動が待たれます。

クロガオライオンタマリンの生態

クロガオライオンタマリンはブラジル南東部のスぺラグイ島とその対岸という極めて狭い範囲にしか生息しません。

低地性の沿岸林を、主にヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピングで移動します。

 

えさは果実が4分の3を占め、その他には樹脂小動物キノコを食べます。

ライオンタマリンは果物大好きです。

 

体長は約30㎝、体重は約600g、しっぽの長さは約40㎝です。

他のマーモセット亜科のサル同様、足の親指以外にかぎ爪を持ちます。

 

クロガオライオンタマリンは、3~7匹からなる主にペア型の群れを作ります。

彼らの行動域はマーモセットのなかまでは最も広く、300ha(1haは1万㎡なので、300haは3㎢)に達します。

 

クロガオライオンタマリンの出産のピークは9月~3月にあります。

メスは1年に1度、通常双子の赤ちゃんを産みます

赤ちゃんは群れのメンバー全員によって育てられ、生後約12週で離乳します。

性成熟には生後18~24カ月で達します。

クロガオライオンタマリン

クロガオライオンタマリンは、先ほど述べたように絶滅が非常に危惧されている種です。

ゴールデンライオンタマリンは、飼育下で繁殖させ、もともと生息していなった森に返す再導入という手法がとられました。

再導入含め、今いる個体を守り、さらに数を増やしていくことは喫緊の課題です。

 

そんなクロガオライオンタマリンには、残念ながら日本で会うことができません

ただ、近縁種であるゴールデンライオンタマリンには、静岡県の浜松市動物園で見ることができます。

ゴールデンライオンタマリンは全身金色ですが、彼らの顔と手足を頭の中で黒にしてみてください。

ほとんどクロガオライオンタマリンになるでしょう。