キツネザル科

ブラウンキツネザル

ブラウンキツネザル
©2007 David Dennis

ブラウンキツネザルの基本情報

ブラウンキツネザル

英名:Brown Lemur
学名:Eulemur fulvus
分類:キツネザル科 キツネザル属
生息地:マダガスカル
保全状況:NT〈準絶滅危惧〉

ブラウンキツネザルPhoto credit: Kevin

種まくサル

19世紀の写実主義の巨匠、フランス人画家のミレーの有名な作品に『種まく人』があります。

ブラウンキツネザルは、まさにこの種まく人ならぬ種まくサル

マダガスカルの森林の維持において、このサルは決定的な役割を果たしています。

 

ブラウンキツネザルは、果実や若葉を主食とします

サルの中には、葉っぱの繊維などを消化するための特殊な消化管(胃や小腸など)を持つものや、種子をもかみ砕く強いアゴを持つものが少なくありません。

しかし、ブラウンキツネザルはこのような消化管や強いアゴを持っていません

つまり、果実などの種子は、かみ砕かれず、消化されずに、うんちと一緒に体外に排出されるのです。

 

木や植物は動くことができません。

なので、ブラウンキツネザルなどの動物に種を運んでもらうことによって、森は維持され、広がっていくことができます。

 

マダガスカルには、他にも様々なキツネザルが生息しますが、コビトキツネザルネズミキツネザルは体が小さく、種子を飲み込めません。

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また、キツネザルのなかまであるシファカアイアイは種子をかみ砕いてしまいます。

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森にとって、種子を生きたままいろいろな場所にまいてくれるブラウンキツネザルの存在は、とても大切なものなのです。

ブラウンキツネザルPhoto credit: Murray Foubister

ブラウンキツネザルの生態

ブラウンキツネザルは、マダガスカルの北部、北西部、中東部にかけて、熱帯雨林乾燥林などに生息します。

樹上性が高く、樹上や地上を四足で歩行します。

 

昼行性のこのサルは、主に果実若葉を食べ、そのほかに樹皮昆虫なども食べます。

 

体長は40~50㎝、体重は2~4㎏、しっぽの長さは55㎝前後になります。

キツネザル属のサルには、オスとメスで色が違うものが多いですが、ブラウンキツネザルには外見上の性差がありません

その一方、他のキツネザルのなかまと同様、臭腺を手首のあたりに持っており、そこから出るにおいを枝につけてマーキングします。

群れの中でのコミュニケーションにはにおいの他、音声やグルーミングも使われます。

下の動画では、ブラウンキツネザルが鳴く様子を見ることができるので是非ご覧下さい。

 

ブラウンキツネザルは、3~12頭から成る複雄複雌の群れを作ります。

キツネザルのなかまの多くは、メスの方がオスよりも優位にありますが、ブラウンキツネザルの場合は、オスとメスにそのような関係は見られません。

 

繁殖には季節性があり、多くの交尾は6~7月にかけて行われるようです。

メスは約120日の妊娠期間の後、通常1匹の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんの世話は主に母親によって行われるようです。

離乳は生後4~6カ月、性的成熟には1~2歳で達します。

寿命は飼育下で25~35年です。

ブラウンキツネザルに会える動物園

ブラウンキツネザルは、違法な森林伐採や焼畑農業、狩猟などにより数を減らしており、レッドリストでは準絶滅危惧に指定されています。

ブラウンキツネザルの減少は、森にとっても由々しきことです。

彼らがなくなることは森がなくなることであり、またその逆も同じです。

彼らを守るだけでなく、森も同時に守らなければなりません。

 

そんなブラウンキツネザルですが、日本の動物園でも会うことができます

千葉県の市川市動植物園、神奈川県の夢見ヶ崎動物公園、愛知県の日本モンキーセンターなどがブラウンキツネザルを飼育しています。