ヒト科

ヒガシゴリラ

ヒガシゴリラ
©2016 Maciej
ゴリラ 第2版
『ゴリラ』ゴリラを知るにはもってこいのこの本。内容はもちろん、著者の山極寿一についても引用付きでご紹介します。...

ヒガシゴリラの基本情報

ヒガシゴリラ

英名:Eastern Gorilla
学名:Gorilla beringei
分類:ヒト科 ゴリラ属
生息地:コンゴ共和国, ルワンダ, ウガンダ
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉

ヒガシゴリラPhoto credit: Derek Keats

葉を食べるゴリラ

ヒガシゴリラは、亜種にマウンテンゴリラヒガシローランドゴリラが知られています。

名前の通り、前者は山の高い所に、後者は低地に主に生息しています。

ゴリラはこれまでもっぱら葉っぱや樹皮ばかりを食べていると考えられていましたが、最近の研究によると低地に住むゴリラ、ヒガシローランドゴリラは果実も食べていることが分かってきました

その種類は、果実を主食とするチンパンジーに匹敵するということなので、ゴリラはどうやら果実が好きなようです。

しかし、そうは言ってもゴリラは果実以外に大量の葉っぱを食べて生きています

その大きい体で生きていくには大量のエネルギーが必要なのです。

 

ところで、葉っぱはやっかいな食料です。

なぜなら、動物がほとんど消化できないセルロースという食物繊維を、葉っぱは持っているからです。

光合成の場である葉っぱを食べられないための、植物なりの戦略なのでしょう。

しかし、ゴリラを含め自然界には葉っぱを食べる動物はたくさんいます。

消化できないのになぜ食べることができるのでしょう。

その答えは、バクテリアにあります。

草食動物は胃や腸にバクテリアを住まわせ、彼らに葉っぱを発酵させているのです。

牛なんかだといくつもの胃を持っており、そこに住むバクテリアと反芻によって葉を消化していますが、ゴリラの場合は、巨大な大腸にバクテリアを共生させることで大量の葉っぱをエネルギーに変えています

ヒガシゴリラPhoto credit: U.S. Fish and Wildlife Service Headquarters’s photostream

子殺しが群れを作る

ゴリラはオスもメスも成熟前に異性を求めて生まれた群れを離れます。

メスは他の群れへの移籍と同時に生まれた群れを離れますが、オスは他の群れへ移籍することなく、単独で行動したりオスだけの群れを作ったりして自分のところにメスが移籍してくる機会をうかがいます。

その後メスが移籍してくれば晴れて自分の群れを作ることができ、その群れは最終的に単雄複雌の形をとるようになります。

複雄複雌の群れを作ることはありますが、それはαオスが老齢で、その息子たちが群れに留まっている場合くらいで、それも長くは続きません。

 

ところが、マウンテンゴリラの場合は複雄複雌の群れを作る傾向にあるようです

なぜでしょう。

その理由は、オスの子殺しという脅威があるため、メスが移籍先の群れを選んでいるからだと言います

子殺しは、オスが血縁関係のない子を殺すことで、母親の発情を促し繁殖の機会を得るという繁殖戦略だと考えられています。

その子殺しは、マウンテンゴリラの新生児死亡の37%を占めていることが分かっています。

メスからしたら、子殺しは大きな脅威であり、移籍の際はより自分たちを守ってくれる群れを選ぶはずです。

つまり、メスたちは複数のオスがいる群れに移籍するのです。

また、そのような群れのオスからしても、保護を求めて新たな異性が移籍してくるので、異性を求めて群れを離れる必要もなくなります。

こういうわけで、複雄複雌の群れが増加したと考えられているのです。

実際、子殺しがほとんど見られないヒガシローランドゴリラでは、9割以上の群れが単雄複雌であると言います。

ヒガシゴリラ

ヒガシゴリラの生態

ヒガシゴリラは、コンゴ民主共和国ウガンダルワンダの低地から4000mもの高地まで様々な森林に生息しています。

先述の葉や果実意外には、髄や樹皮、筍、アリなども食べます。

体長はオスが平均185㎝、メスが平均150㎝、体重はオスが160㎏前後、メスが70-114㎏と、ゴリラは性差が非常に大きいサルです

 

ゴリラと言えば、その歩き方が特徴的です。

これはナックルウォークと呼ばれ、指の第二関節までを丸め、指の甲側を地面につけるような歩き方です。

また、木を渡り歩く際には腕を上手に使ったり(ブラキエーション)、時には地上を二足歩行で移動したりと、ゴリラは実に様々な方法で移動します。

移動方法(二足歩行、四足歩行、ブラキエーション、ヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピング)
移動方法霊長類の多様な移動方法を動画付きで解説しています。四足歩行以外にもブラキエーションやヴァーティカ……...

 

ヒガシゴリラは先述のように、単雄複雌や複雄複雌のまとまりのより群れを作ります。

群れのメンバーは多くても2、30頭ですが、最近では50頭以上からなる複雄複雌のマウンテンゴリラの群れも見られるようです。

群れは背中の毛が白いシルバーバックと呼ばれる成熟したオスによって率いられます。

オスは群れからメスが移籍することはあっても、その地位を奪われることはほとんどありません。

なんだかうらやましいですね。

 

ゴリラは、チンパンジーなどのように性皮を腫らすなどの外形的な発情兆候を示さず、交尾期間も非常に短いです。

月経周期は31~32日で、排卵日に合わせて1~3日だけ交尾をします。

生まれた子供は2~3年という長い授乳期間を終え、メスは10歳、オスは15歳ほどで性成熟を迎えます。

ヒガシゴリラに会える動物園

ヒガシゴリラは、狩猟、森林破壊、病気の感染などの影響により、個体数を減らしています

その数は、2018年時点でなんと5000頭以下と推測されており、レッドリストでは最も絶滅が危険視されている絶滅危惧ⅠA類に指定されています。

私たちと同じ類人猿のなかまであるヒガシゴリラの絶滅はなんとしても食い止めたいところです。

それには、私たちも普段の消費生活の中で、知らず知らずのうちにゴリラの生息地破壊に加担してしまっていることを自覚しなければなりません。

 

そんなヒガシゴリラですが、日本の動物園で見ることはできません

現在世界で飼育されているゴリラのほとんどはニシゴリラ、日本で飼育されているのはすべてがその亜種ニシローランドゴリラです。

西と東のゴリラでどう違うのか、自分の目で確かめたいところですが、残念です。

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