オナガザル科

ニホンザル

ニホンザル

ニホンザルの基本情報

ニホンザル

英名:Japanese Macaque
学名:Macaca fuscata
分類:オナガザル科 マカク属
生息地:日本
保全状況:LC〈軽度懸念〉

ニホンザルPhoto credit: Brian Jeffery Beggerly

スノーモンキー

ニホンザルは、ヒトを除くサルの中で、最も北に生息します。

北海道と茨城県、沖縄県以外の日本中に生息しており、彼らの姿は豪雪地帯や3000mの高山にも見ることができます。

雪の中のサルは海外では珍しく、ニホンザルはスノーモンキー(snow monkey)の愛称で親しまれています。

特に、長野県の地獄谷に棲む、温泉につかるニホンザルはあまりにも有名で、海外からたくさんの観光客を呼び寄せています。

 

生息地は日本だけですが、地域の環境の幅は非常に広いです。

それに対応して、サルの毛の密度や明るさなどにも地域差が見られ、屋久島に生息するサルはヤクシマザルという亜種として位置づけられています。

ちなみに、ニホンザルが日本に入ってきたのは、43~63万年前と言われています

ホモ・サピエンスという人類が生まれたのが約20万年前、その人類が日本列島にやってきたのが約3万年前と言われているので、ニホンザルはそのずっと前から日本を住みかとしていたのですね。

ニホンザルの文化

日本の霊長類学はこのニホンザルの研究から始まりました。

その最初の調査は1948年、宮崎県幸島で行われたのですが、1952年に「イモ洗い」という行動が観察されます。

これは名前の通り海水でイモを洗う行為で、これ以降、砂浜に巻かれた麦を砂と共に掬って水に浸し、浮かんできたものを食べるような行動や、温泉につかったり(地獄谷など)、焚火にあたったり(日本モンキーセンター)と地域ごとに異なった文化的な行動が観察されるようになります

 

そして最近、社会行動にも文化的変異があることが京都大学の研究により分かってきました

ニホンザルは、緊張が高まった時に抱擁行動を行います。

これはメス同士に見られる行動で、この行動に地域差があることが分かったのです。

このような地域差は環境や遺伝的な違いに帰結できそうにないことから、文化であろうと言われています。

これまで、ニホンザルの社会行動における文化的変異は確認されていませんでした。

この研究はそれを初めて示したもので、日本ではニュースにもなりました。

ニホンザルの生態

ニホンザルは、日本暖温帯常緑樹林から冷温帯落葉広葉樹林までの広い環境に生息します。

生息地はシカなどと被ることもありますが、上手く共存しているようでサルがシカの背中に乗って遊ぶこともあるようです。

 

昼行性で、果実種子を好んで食べます。

他にはキノコ樹皮なども食べ、夏には昆虫も食べます。

 

体長は55㎝前後、体重はオスが約12㎏、メスが8㎏でオスの方が大きくなります

また、しっぽはオナガザル科であるにもかかわらず短く、約8㎝です。

しっぽが短い所は異なりますが、尻だこほお袋を持っていることは他のマカク属のサルたちとの共通点です。

 

ニホンザルは通常40頭ほどの群れを作りますが、地域によってその大きさは変わります。

ニホンザルの群れは複雄複雌で、オスだけが生まれた群れを離れる母系社会です。

群れには序列があり、頂点にはαオスが君臨します。

特にオスの順位がわかる行動として、劣位のものが優位のものにお尻を向けるプレゼンティング(メスの交尾姿勢)や、優位のものが劣位のものに馬乗りになるマウンティング(オスの交尾姿勢)があります。

優位のオスは一生その地位に居座れるわけではなく、何度か群れを移動し続けます

その度に最下位からのスタートとなりますが、ヤクシマザルは他の群れをのっとることでいきなり上位からスタートすることもあるようです。

 

ニホンザルは秋から冬にかけて妊娠し、春から夏にかけて出産します。

発情期には顔やお尻が赤くなり、メスは性皮を腫脹させます。

メスは妊娠後も発情を示すようです。

妊娠期間は5~6カ月で、通常1匹の赤ちゃんが生まれます。

離乳するのは1~1.5歳で、4~5歳で性成熟に達します。

メスの性的休止期間は約2年で、寿命は20~25年です。

ニホンザルPhoto credit: SITS Girls

ニホンザルに会える動物園

ニホンザルは、絶滅の危機どころかむしろ数が多くて人間の生活に影響を及ぼしているほどで、毎年1万頭以上が駆除されています

もちろんその根源には道路開発や観光地開発など人的要因があり、その仕返しなのか、被害額10億円にも上る畑荒らしや観光客が直接的な攻撃を受けるなどの例が後を耐えません。

このように日本人とニホンザルの関係は悪くなる一方ですが、猿回しや童話などに見られるように、その関係は歴史的に悪くなかったはずです

うまく共存できる日が再びやってくるよう私たちは努力しなければなりません。

なんせ彼らは私たちにとって日本のサルの先輩であり、唯一のなかまなのですから。

 

そんなニホンザルですが、当然のことながら日本各地の動物園だけでなく野生で見ることができます。

今回は、ニホンザルが自然に近い状態で飼育され、なおかつ近くで見ることができる場所を紹介したいと思います。

ほとんどみなさんご存知かと思いますが、温泉に入るサルで有名な長野県地獄谷野猿公苑、歴史の町・京都の嵐山モンキーパークいわたやま、サルと触れ合える兵庫県の淡路島モンキーセンター、日本一のサル団子で有名な香川県の小豆島銚子渓自然動物園お猿の国、500頭超の群れが見られる宮崎県の高崎山自然動物園、そして日本のサル学が始まり今でも研究機関がある、同じく宮崎県の無人島・幸島

これらはニホンザルに会えるほんの一部の場所ですが、野生に近いサルたちに会える貴重な場所でもあります。

動物園での観察も楽しいですが、機会がある方は是非このような場所での観察も行ってみてください。

新たな発見があるかもしれません。