オマキザル科

クチヒゲタマリン

クチヒゲタマリン
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クチヒゲタマリンの基本情報

クチヒゲタマリン

英名:Moustached Tamarin
学名:Saguinus mystax
分類:オマキザル科 タマリン属
生息地:ブラジル, ペルー
保全状況:LC〈軽度懸念〉

クチヒゲタマリンPhoto credit: Postdlf

ヘルパーと子殺し

クチヒゲタマリンは、名前の通り白い口髭が特徴的です。

種小名の“mystax”も、ギリシャ語で口髭と言う意味です。

 

そんなかわいらしいクチヒゲタマリンは、7匹前後から成る複雄複雌の群れを作ります。

この群れでは、通常最も高齢のメスだけが繁殖できます

他のメスたちは、ヘルパーとしてこのメスの子供の世話をします。

 

マーモセットのなかまは通常双子を産みます。

双子の赤ちゃんたちは、他のサルと比べると親の体重に対してけっこう重いです。

そのため、母親だけでは運搬などの世話ができません。

そこで、このヘルパーたちがその役を時に担うことで、母親の負担を減らしているのです

 

ところで、クチヒゲタマリンの群れでは、タマリンのなかまの中では極めてまれな子殺しが観察されています。

子殺しでは、オスが血のつながりのない子供を殺すのが通常ですが、このサルの場合は全くの逆です。

つまり、メスが自分の子を殺してしまうのです

オスによる子殺しは性選択理論により説明されますが、このサルの子殺しはどうやらヘルパーと関係あるようです。

子殺し
子殺しライオンなどサル以外にも見られる子殺しとは一体何なのか、なぜ起こるのか。これらの疑問にお答えします。...

先述のように母親は単体で育児をすることができず、ヘルパーに頼っています。

母親による子殺しは、このヘルパーの数が少なくなったときにおこると考えられています。

ヘルパーが少ない状況では子供が2匹とも大人になれるかわからない、だから1匹に最大の育児コストをかけるのが最善だ。

このような理由で双子の内どちらか1匹が母親に殺されると考えられるのです。

何とも残酷です。

クチヒゲタマリンPhoto credit: Stavenn

クチヒゲタマリンの生態

クチヒゲタマリンは、ブラジルペルーのアマゾン上流域に位置する熱帯雨林などに生息します。

 

昼行性樹上性が強く、果実昆虫樹液などを食べます。

 

体長は約25㎝、体重は460~560g、しっぽの長さは30cm以上で、メスの方がやや大きくなります

 

クチヒゲタマリンは、他のマーモセットのなかまと同様に、かぎ爪を持ちます。

また、においもこのサルたちの特徴で、音声と共に仲間内でのコミュニケーションに使われます。

 

クチヒゲタマリンの群れは非常に寛容で、ケンカはほとんど起きないようです。

また、他のタマリンと混群を作ることもあるようです。

オスメスにはそれぞれ序列があり、オスの場合はメスと違って全員繁殖の権利を持つようです。

しかし、やはり群れの子供は優位のオスの子供であることが圧倒的に多いようです。

 

クチヒゲタマリンを含め、マーモセット亜科のサルは1年に2度繁殖を行い、1度に2匹の赤ちゃんを産みます。

妊娠期間は約5ヶ月で、生まれた赤ちゃんは約半年で離乳します。

性成熟には約半年で達し、メスの方がオスより早く成熟します。

クチヒゲタマリンに会える動物園

クチヒゲタマリンは、レッドリストでは軽度懸念に指定されていますが、その数は減少しているようです

しかし、大きな脅威は今のところあまりなく、サルの中では絶滅から遠い存在であると言えるかもしれません。

 

そんなクチヒゲタマリンですが、日本の動物園では会うことはできません

ヘルパーという面白い存在が群れの中にいるだけに、それを観察できないのは残念です。