クモザル科

アカガオクロクモザル

アカガオクロクモザル
©2013 Kitty Terwolbeck

アカガオクロクモザルの基本情報

アカガオクロクモザル

英名:Red-faced Black Spider Monkey
学名:Ateles paniscus
分類:クモザル科 クモザル属
生息地:ブラジル, フランス領ギアナ, ガイアナ, スリナム
保全状況:VU〈絶滅危惧Ⅱ類〉

アカガオクロクモザルPhoto credit: Miguelrangelir

発情のサイン

サルの中には、チンパンジーやニホンザルのようにメスがお尻の性皮を腫脹(しゅちょう)させることによって、繁殖の準備ができていることを示すものがいます。

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オスはメスの発情によって発情するので、このような視覚的なサインは繁殖において重要な役割を果たしていると思われます。

 

しかし、アカガオクロクモザル含めたクモザルのなかまにはこのような性皮の腫脹は見られません。

では、オスはどのようにしてメスの発情を知ることができるのでしょうか。

彼らの場合、発情のサインに音声とにおいが活用されます

メスは発情すると、性皮を腫脹させる代わりに、発情期特有の声を発します。

この声からオスはメスの発情を知ることができます。

また、オスはメスの尿や陰部を匂うことによってもメスの発情を知ります。

 

このように、視覚的ではなく、聴覚的、嗅覚的な発情サインがクモザルのなかまに見られる理由としては、寒冷・乾燥化の影響が小さく果実が豊富なアマゾンでは、チンパンジーなどのアフリカに住むサルのように地上に降りる必要がなかったためだと考えられます。

地上性のサルは、樹上よりも開けた環境に置かれたことで、視覚的コミュニケーションを発達させました。

その一方、樹上性のクモザルは、地上に降りることなく、鬱蒼(うっそう)とした樹上でも意思伝達可能な聴覚的、嗅覚的なコミュニケーションを維持しています。

クモザルが性皮の腫脹という視覚的な発情サインを示さないのは、このようなことに起因していると推測できます。

アカガオクロクモザルPhoto credit: Victor Silvares

アカガオクロクモザルの生態

アカガオクロクモザルは、ブラジル北東部、ギアナスリナム高木林(こうぼくりん)などに生息します。

 

昼行性で、主に果実を食べます。

その他にも若葉や種子などを食べます。

種子は消化されずに排出されるので、このサルは森林において重要な種子散布者です

 

体長は約55㎝、体重はオスが9.1㎏、メスが8.4㎏とオスがやや大きくなります

しっぽは太くて長く、しっぽ1本で木にぶら下がることができます。

しっぽの先には毛がなく、尾紋があります。

これによりグリップ力が増しているのです。

 

アカガオクロクモザルは、30頭ほどから成る複雄複雌の群れを作ります。

この群れは離合集散し、採食は3頭以下のグループで行われます。

アカガオクロクモザルの社会は、メスが成長すると群れを離れる父系社会です。

そのため、メス同士の関係はオス同士のそれより薄くなります。

オスが連れ合って行動するのに対し、メスは群れの縄張り内に自分の小さなコアエリアを持ち、他のメスと分かれて遊動することが多いです。

 

繁殖、特に出産には季節性があると言われています。

スリナムでは、子どもは11月~1月、つまり長い乾季の終わりごろから短い雨季の初めに生まれます。

交尾は26日くらいの月経周期の内、2日間、乱交的に行われます。

出産から次また出産できるようになるには2~3年を要し、妊娠期間は7.5カ月ほどです。

生まれた子供は2年ほどで離乳し、4~5年で性成熟に達します。

また、子どもの顔は黒い(下の動画で見られます)ですが、成長と共に大人のような赤い顔になっていきます。

アカガオクロクモザルに会える動物園

アカガオクロクモザルは、生息地の破壊や狩猟などによりその数を減らしています

レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

先述のように、アカガオクロクモザルは、森林において種子を散布するという重要な役割を担っています。

彼らの減少は森林の減少にも直結しているのです。

 

そんなアカガオクロクモザルですが、日本では愛知県の日本モンキーセンターにて会うことができます。

もしかしたら、発情のサインを聞けるかもしれないので機会がある方は是非訪れてみてください。