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タパヌリオランウータン

タパヌリオランウータン
©2014 Tim Laman: clipped from the original Batang Toru Population Togus, adult flanged male Batang Toru Forest Sumatran Orangutan Conservation Project North Sumatran Province Indonesia
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タパヌリオランウータンの基本情報

タパヌリオランウータン

英名:Tapanuli Orangutan
学名:Pongo tapanuliensis
分類:ヒト科 オランウータン属
生息地:インドネシア
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉

タパヌリオランウータンPhoto credit: Tim Laman

新種だけど…

2017年、大型類人猿では1929年のボノボ以来初めて、新種のオランウータンが発見されました。

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長い間、スマトラ島に生息するオランウータンは、スマトラ島にある世界最大のカルデラ湖であるトバ湖より北および西にしか生息しないと考えられていました。

しかし、1997年、トバ湖より南でオランウータンの個体群が発見されました。

そして2013年、そのオランウータンの頭骨を研究チームが手に入れたのをきっかけに研究が進んだ結果、2017年新種としてこのオランウータンが登録されることになったのです。

このオランウータンは、研究チームが頭骨を手に入れた場所にちなんでタパヌリオランウータンと名付けられました。

 

新たに発見されたタパヌリオランウータンですが、実は3種のオランウータンの中でも最も古い種とされています

たとえば、彼らの犬歯は他のオランウータンよりも大きく、出土したオランウータンの化石に近い特徴を示しています。

 

更新世(258万~1万年前)と言われる時代のある期間、スマトラ島やボルネオ島、ジャワ島などの島々は、海面の低下により大陸とつながり、スンダランドという陸地の一部になっていました。

スンダランドは約1万年前に海面の上昇により海に沈み今のような東南アジアになりましたが、その本体の陸地は恐竜の時代である中生代に起源をもち、1億年に達する歴史を持つと言われています。

そんなスンダランドに進出した初期の個体群の直系子孫、それがタパヌリオランウータンだと言われています。

その起源は338万年以上前に遡り、そこからスマトラオランウータン(338万年前)やボルネオオランウータン(67万年前)が分岐していったと推定されています。

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タパヌリオランウータンは新種だけれど一番古い種だったのです。

タパヌリオランウータンPhoto credit: Maximilian Dorrbecker

タパヌリオランウータンの生態

タパヌリオランウータンは、インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林に生息します。

このタパヌリオランウータンが生息する環境は、同じスマトラ島に住むスマトラオランウータンのものより非常に限られていることが指摘されています。

(標高はタパヌリオランウータンが海抜834.4±219.3 mなのに対し、スマトラオランウータンは海抜701.7±454.8 m、平均気温は22.1±1.2°Cと23.3±2.5°C、平均年間降水量は2,607.5±231.2 mmと2,435.1±460.5 mm。)

 

タパヌリオランウータンは他のオランウータンのように果実を食べますが、他とは違って毛虫や松かさも食べるようです。

 

優位なオスはフランジというひだを発達させており、そのようなオスをフランジオスと言いますが、このフランジオスはロングコールという音声を、のど袋を使って発します。

このロングコールがタパヌリオランウータンの場合、スマトラオランウータンよりも高く、ボルネオオランウータンより長いことが分かっています。

 

タパヌリオランウータンに関してはまだよく分かっていませんが、生態に関しては他のオランウータンと共通している部分が多くあると考えられます。

是非スマトラオランウータンボルネオオランウータンの記事を参考にしてみてください。

タパヌリオランウータンに会える動物園

タパヌリオランウータンは、ペット取引、探鉱のための森林伐採、農地侵入による殺害などのために、個体数を激減させています

レッドリストでは絶滅危惧ⅠA類に指定されており、生存数はわずか800頭以下と推定されています

新たに見つかった森の人は、すぐにいなくなってしまうのでしょうか。

 

そんなタパヌリオランウータンですが、当然ながら日本では会うことができません

その代わり、スマトラオランウータンやボルネオオランウータンには会える動物園は複数あるので、是非そちらに行ってみてください。