クモザル科

ブラウンケナガクモザル

ブラウンケナガクモザル
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ブラウンケナガクモザルの基本情報

ブラウンケナガクモザル

英名:Variegated Spider Monkey
学名:Ateles hybridus
分類:クモザル科 クモザル属
生息地:コロンビア, ベネズエラ
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉

ブラウンケナガクモザルPhoto credit: mcamcamca

遅い繁殖スピード

ブラウンケナガクモザルを含め、クモザルのなかまの繁殖のスピードは非常にゆっくりとしています

 

ブラウンケナガクモザルは生まれてから1~2年で離乳します。

その後、4~5歳で性的に成熟し、赤ちゃんを産める体になりますが、実際に赤ちゃんを産むのは7~8歳です。

繁殖に明確な季節性は見られませんが、雨季の初めに赤ちゃんが生まれる傾向がややあるようです。

 

クモザルは乱交的に交尾をします。

そうして交尾が成功すれば、約230日もの妊娠期間を終えて、メスは1匹の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんを産んだメスは、すぐ次の繁殖を行えるわけではありません。

出産から3~4年経った後で、ようやく次の赤ちゃんを産めるようになります。

 

このように、クモザルのなかまの繁殖は非常にスローペースです。

これは、魚類や昆虫などに見られる、たくさんの子供を作る数打ちゃ当たる戦略とは真逆で、少ない子供に沢山のコストをかけることで確実に自分の遺伝子を残す戦略だと言えます。

しかし、この戦略では、一度個体数が減ってしまえば、元の状態に回復するには時間がとてもかかってしまいます。

個体数が継続的に減少していれば、回復することすら難しいでしょう。

 

クモザルの場合、子供を産んでも親がまた子供を産めるようになるのは3~4年後、子供が孫を産むのは7~8年後です。

個体数の減少が、ゆっくりとした繁殖のペースを持つクモザルにどれほどの影響を与えるのか、考えるまでもないでしょう。

ブラウンケナガクモザルPhoto credit: mcamcamca

ブラウンケナガクモザルの生態

ブラウンケナガクモザルは、コロンビア北部ベネズエラ熱帯雨林などに生息します。

 

樹上性が高く、林冠部で多くの時間を過ごします。

彼らの体は樹上での生活に適応しており、特にそのしっぽが役立っています。

しっぽには把握力があり、その先端の毛がない部分に尾紋を備えることで、更にグリップ力を高めています。

また、枝に手をかけるようにして移動するため、親指がほとんどありません

ギリシャ語で「不完全な」を意味する属名“ateles”も、これに由来しています。

 

ブラウンケナガクモザルは、主に果実を食べ、その割合は全体の8割以上にもなります。

果実の他には、若葉種子昆虫なども食べます。

 

体長は45~50㎝、体重は7.5~10.5㎏でオスの方がやや大きくなります

把握力のあるしっぽは75㎝にもなり、しっぽ一本で木にぶら下がることができます。

 

ブラウンケナガクモザルは、約30頭からなる複雄複雌の群れを作ります。

しかし、採食の時などは数頭の小さな集団に分かれて行動します

主食である果実はどこにでもあるわけではないので、このような小集団が作られると考えられます。

 

ブラウンケナガクモザルの社会は、オスが群れに留まり、メスが生まれた群れを離れる父系社会です。

そのため、オス同士の結びつきがより強く、グルーミングもオス同士により見られます。

また、メスは群れの縄張り内に、コアエリアという自分だけの行動域を持っています。

メス同士は互いに干渉しないようです。

ブラウンケナガクモザルに会える動物園

ブラウンケナガクモザルは、主に生息地の破壊により個体数を減らし続けています

具体的な個体数についてはよく分かっていませんが、レッドリストでは絶滅の危険度が一番高い、絶滅危惧ⅠA類に指定されています。

先述のように繁殖のペースが遅い彼らにとって、この状況は致命的だと言えるでしょう。

 

そんなブラウンケナガクモザルですが、埼玉県の大宮公園小動物園と東京都の江戸川区自然動物園にて会うことができます。

最も絶滅が危惧されている動物を見られることはとても貴重です。

機会がある方は是非足を運んでみて下さい。

クモザル – 動物紹介 – 自然動物園 – 公益財団法人 えどがわ環境財団
https://www.edogawa-kankyozaidan.jp/zoo/introduction/234/