ヒト科

ニシゴリラ

ニシゴリラ
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ゴリラ 第2版
『ゴリラ』ゴリラを知るにはもってこいのこの本。内容はもちろん、著者の山極寿一についても引用付きでご紹介します。...

ニシゴリラの基本情報

ニシゴリラ

英名:Western Gorilla
学名:Gorilla gorilla
分類:ヒト科 ゴリラ属
生息地:アンゴラ, カメルーン, 中央アフリカ共和国, コンゴ共和国, 赤道ギニア, ガボン, ナイジェリア
保全状況:CR〈絶滅危惧ⅠA類〉

ニシゴリラPhoto credit: Eric Kilby

果物大好き

以前まで、ゴリラは草食、葉食であると考えられていましたが、最近の研究により特に低地のゴリラは果実を好んで食べていることが分かりました。

量では劣りますが、ゴリラは果実を主食とするチンパンジーに負けずとも劣らない種類の果実を食べるようです。

 

ここで一つ問題が起きます。

というのも、ニシゴリラの一部はチンパンジーと同じ地域に生息しているからです。

果実を求めて競合しないのでしょうか。

結論から言うと、彼らはうまく共存しているようです

まず、果実への執着が両者で異なります

チンパンジーが果実への執着が強いのに対し、ゴリラはチンパンジーほど強くなく、草本や樹皮など他の食料への切り替えが可能です。

そしてもう一つ、採食行動が異なります

チンパンジーが特定の地域を繰り返し利用し、特定の種を集中して食べるのに対し、ゴリラは様々な果実を地域にこだわることなく食べ歩きます。

このような生態の違いが重なり、彼らは共存することができているのです。

 

ところで、果実を食べるということは木に登らないといけないということです。

つまり、ゴリラは樹上性があると言えます。

一般的な動物園を想像してみると、樹上性があるかれらの本来の生態に適した展示になっているのか疑問が湧いてきます。

ちなみに、世界中の動物園で飼育されているゴリラのほとんどはこのニシゴリラです。

ニシゴリラPhoto credit: Charlie Marshall

ドラミング

ゴリラと言ったら、やっぱりあの胸をたたく姿が一番に頭に浮かんできます。

これはドラミングと呼ばれる行為で、仲間がいないときやほかの群れと出会った時などに行われます。

ゴリラは、手で胸をたたいてドラミングをしますが、この時、喉や胸のあたりにある喉頭嚢という器官を空気で膨らませることで、大きな音をだしています。

特に成熟したオスは、この喉頭嚢が発達しているので、ポコポコと大きな音を出すことができます。

このドラミングは、一連の誇示ディスプレイの一部として行われることもあります。

フート音と呼ばれる鳴き声の後の体ゆすり、直立姿勢の後に行われ、突進がこのドラミングの後に続きます。

下の動画では、愛知県の東山動植物園で飼育されている、イケメンゴリラのシャバーニ君のドラミングを見ることができます。

ニシゴリラの生態

ニシゴリラは、カメルーンガボンコンゴ共和国などの低地林や湿潤林に生息します。

昼行性で、寝るときは木の枝や葉っぱなどで地上、または樹上にネスト(巣)を作ります。

ゴリラは現生する霊長類の中で最大の種です。

オスの体長は175㎝ほど、体重は平均180㎏、大きいもので250㎏を超えるというので、その迫力は半端ではありません。

その一方、メスはかなり小さく、体長は125㎝、体重も100㎏を超えることはなく、性差が著しいです。

これほど体格に違いがあるのは、メスをめぐるオス同士の反発が強いからだと考えられています。

 

ニシゴリラは、多くて30頭ほどの単雄複雌のまとまりの良い群れを基本的に作ります。

この群れはシルバーバックという背中から腰にかけて白い毛を持つ成熟したオスに率いられます。

毛が白くないオスはブラックバックと呼ばれますが、彼らの背中も11歳を過ぎたごろからだんだん白くなっていきます。

 

ゴリラの社会では、オスもメスも成熟すると群れを離れます

オスの場合は、単独で行動したりオスだけの群れを作ったりして自分の群れを持つ機会をうかがいますが、メスは群れから群れへ移籍するだけで単独行動することはありません。

ここで重要になるのが出会いです。

ゴリラはなわばりを持たず、群れ同士の遊動域は大きく重なります。

そのため群れ同士や群れとヒトリオスが出会うことがよくあります。

メスはこの時、群れを移籍したりヒトリオスについて行ったりします。

つまり、出会いがなければ群れを離れられないのです。

移籍はメス単独で行われ、メスが集団で移籍することはありません。

また、メスにとって重要なのは自分を保護してくれるオスとのつながりであり、それゆえメス同士の関係はうすいようです。

ニシゴリラPhoto credit: Nigel Swales

ニシゴリラに会える動物園

ニシゴリラは、レッドリストにおいて最も絶滅が危惧される絶滅危惧ⅠA類に指定されています。

その理由としては、生息地の減少や密猟、病気の感染などが挙げられます。

特にゴリラの肉は地元民からしたら現金収入になるだけでなく、高タンパクの食料でもあるので、保護区ですら密猟が絶えず、ゴリラの個体数の減少に影響を与え続けています。

ゴリラの保全と地元民の生活とのバランスは非常に難しい所です。

すでに行われている、密猟者を保護区のレンジャーやガイドとして雇用するなど、両者を考慮した処置が最も大切だと思われます。

 

そんなニシゴリラですが、日本のいくつかの動物園でも会うことができます。

上野動物園千葉市動物公園、静岡県の浜松市動物園、愛知県の日本モンキーセンター東山動植物園京都市動物園がニシゴリラを飼育しています。

ちなみに、ニシゴリラは亜種としてニシローランドゴリラクロスリバーゴリラに分けることができますが、日本にいるゴリラはすべてニシローランドゴリラです。

豆知識でした。