テナガザル科

ニシフーロックテナガザル

ニシフーロックテナガザル
©2011 Vijay Cavale

ニシフーロックテナガザルの基本情報

ニシフーロックテナガザル

英名:Western Hoolock Gibbon
学名:Hoolock hoolock
分類:テナガザル科 フーロックテナガザル属
生息地:バングラデシュ, インド, ミャンマー
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

ニシフーロックテナガザルPhoto credit: Programme HURO

おしどり夫婦

意外に思われるかもしれませんが、実はテナガザルは私たち人間と同じ類人猿に分類されます

類人猿にはほかにオランウータンやゴリラ、チンパンジー、ボノボがいますが、それぞれ全く違う社会構成をしています。

オランウータンが群れを作らず単独行動をする一方で、ゴリラは主に単雄複雌、チンパンジーとボノボは複雄複雌の群れを作ります。

そんな中で、テナガザルの群れはこれらとも違う構成をしています。

 

テナガザルは類人猿の中で最も人間から遠い関係にありますが、その群れは現代の人間に最も近い形をしています。

一夫一婦制です。

テナガザルは1匹ずつのオスとメス、そして彼らの子どもたちから成る群れを作ります。

子どもたちは成長すると群れを離れますが、大人たちは基本的にずっと一緒にいるようです。

人間の家族のようです。

 

そんなテナガザルですが、群れの構成の以外にも、他の類人猿にはない特徴があります。

それが歌です。

テナガザルは主に群れのなわばりを守るために、オスとメスが一緒になって歌を歌います。

このデュエットでは、通常オスとメスはそれぞれの旋律を奏でます。

ところがこのニシフーロックテナガザルの場合は、そのオスとメスそれぞれの旋律に性差が見られないようです

仲が良すぎて、同じ旋律を歌わずにはいられないのでしょうか。

ニシフーロックテナガザルPhoto credit: Sagar

ニシフーロックテナガザルの生態

ニシフーロックテナガザルは、バングラデシュインド(アッサム地方)、ミャンマー北西部の浸水林や常緑林などに生息します。

樹上で生活し、ブラキエーションと呼ばれる移動方法で木々を渡ります。

そのスピードは20キロにもなるというので驚きです。

一方、地上や太い枝を歩くときなどは、二足歩行をします。

長い手を上げて歩く姿は何ともかわいらしいです。

移動方法(二足歩行、四足歩行、ブラキエーション、ヴァーティカル・クリンギング・アンド・リーピング)
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ニシフーロックテナガザルは、主に熟した果実を食し、他には葉や種子、つぼみ、昆虫なども食べます。

種子は消化されずに排出されるので、このサルは種子の散布に大きな役割を果たしています

体長は60~90㎝、体重は6~9㎏で、体格の上での性差はほとんどありません

その一方で、体色の性差は顕著です

オスが黒い体に白い眉毛をはやしているのに対し、メスは明るい褐色をしており、白い毛が顔の周りを飾っています。

体格が同じで色が違うのはなんだか面白いですね。

 

先述のように、このサルの歌には性別による旋律の特徴が明瞭ではありません。

そして、その旋律が比較的シンプルであることも他のテナガザルとの違いです

また、なわばりの防衛のためだけでなく、歌は子どもとのコミュニケーションにもなっていると考えられています

ニシフーロックテナガザルに会える動物園

ニシフーロックテナガザルは、インドやバングラデシュでは薬になると考えられており、食料目的と合わせて狩猟の対象になっています

これに人間による生息地の破壊が加わり、このサルの個体数は減少し続けています。

レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

彼らの最大の捕食者は、肉食獣なんかではなく私たち人間なのです。

 

そんなニシフーロックテナガザルですが、日本の動物園では会ことができません

 

「ニシフーロックテナガザルの夫婦を見る→カラオケでデュエット」

この流れを踏めば大抵の男女間のいざこざはなくなりそうなものなのですが、このサルに会えないとは非常に残念です。