オマキザル科

ケナガクモザル

ケナガクモザル
©2011 Ewa: clipped from the original

ケナガクモザルの基本情報

ケナガクモザル

英名:White-bellied Spider Monkey
学名:Ateles belzebuth
分類:クモザル科 クモザル属
生息地:ブラジル, コロンビア, エクアドル, ペルー, ベネズエラ
保全状況:EN〈絶滅危惧ⅠB類〉

ケナガクモザルPhoto credit: David Ceballos

お誘いはメスから

ケナガクモザルを含め、クモザルのなかまの交尾はメスの誘いから始まります。

ことの詳細は割愛しますが、この事実は意外に重要です。

なぜならメスがオスを選んでいるからです。

メスにオスを選ぶ自由があるということは、オス同士のメスをめぐる競合が比較的に弱いと言える可能性があります。

メスをめぐるオス同士の競合が強いと、交尾も必然的にオスから誘うことが多くなります。

しかし、それが弱ければ、クモザルのように交尾がメスの誘いから始まることもあるのです。

 

メスをめぐるオス同士の競合が強い種では、オスとメスの体格の差が大きくなります。

その一方、競合が弱い種では、オスは争う必要がないので、メス以上の体格になる必要はありません。

オス同士の競合が弱いと思われるクモザルの場合、オスとメスの体格における性差はほとんどありません。

ケナガクモザルの場合、メスの方が大きくなる場合すらあるようです。

オス同士の競合が弱いサルの社会は、往々にして平和的です。

クモザルの社会でも、攻撃性が現れることはあまりないようです。

ケナガクモザルPhoto credit: Ewa

ケナガクモザルの基本情報

ケナガクモザルは、南米北部熱帯雨林などに生息します。

樹冠部分を好み、地上には土を食べる時くらいしか下りてきません。

 

ケナガクモザルは昼行性で、主に果実を食べます。

その他には、種子なども食べます。

クモザルのなかまは種子を丸呑みすることも多いので、種子散布者として森林の維持に欠かせない存在となっています

 

体長はオスが42~50㎝、メスが34~59㎝、体重は6~10.5㎏、しっぽの長さは60~90㎝になります。

しっぽの先には毛がなく、尾紋があります。

また、ケナガクモザルには頭に三角の模様があるものがいますが、ないものもいます。

 

ケナガクモザルは、複雄複雌の群れを作ります。

群れは20~40頭から成りますが、通常は数頭の小さな集団に分かれています。

また、この群れはメスが生まれた群れを離れる父系集団です

 

ケナガクモザルには、出産に季節性があると考えられています。

メスは210~225日の妊娠期間の後、1匹の赤ちゃんを産みます。

赤ちゃんは12~15カ月で離乳し、4~5歳で性成熟に達します。

しかし、メスは新しい群れに加入してから2~3年後にしか出産しないので、メスの初産年齢は7~9歳になります。

メスの性的休止期間は2~3年と考えられています。

ケナガクモザルは、飼育下では30~40年生きます。

ケナガクモザルに会える動物園

ケナガクモザルは、生息地の縮小や狩猟により、個体数を減らし続けています

レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類に指定されており、さらなる個体数の減少が懸念されています。

2050年には、2005年比で50%以上減ると推測されています。

 

そんなケナガクモザルですが、日本では愛知県の日本モンキーセンターで会うことができます。

彼らの平和な社会、しっぽを使った移動などなど、いろいろと観察してみてください。